Let’s enjoy sports watching.

2018.11.07

朝夕冷え込む季節になりましたが、皆様は風邪など引かずにお元気でお過ごしでしょうか。月日が経つのは早いもので、もう11月となりました。前号で、スポーツは「する・みる・支える」の3つの楽しみ方があるとお伝えしました。

今号では、スポーツ観戦シーズン真っ盛りの今、「みるスポーツ」の楽しみ方をお伝えしたいと思います。

プロ野球NPB

プロ野球NPBは、日本シリーズでパ・リーグ2位の福岡ソフトバンクホークスが、セ・リーグ覇者の広島カープを4勝1敗1分けで下し、長いシーズンに幕を閉じました。過去10年でパ・リーグが8度優勝と、近年はパ・リーグの強さが目立ちます。

パ・リーグは、かつては不人気で球団経営が厳しく、身売りや合併もあり厳しい時代が続きました。ドラフト会議でも、パ・リーグの球団に指名されると拒否する選手が少なくありませんでした。しかしながら、パ・リーグ球団のマーケティング戦略が功を奏し、Jリーグ経営を見習った、地域密着戦略やIT時代に即したメディア戦略により、冬の時代を脱し、今やセ・リーグ球団を圧倒的に凌ぐ実力と福岡ソフトバンクホークスのような人気とお金を集めることのできる球団が増えて来ました。

福岡ソフトバンクホークスの強みは、ソフトバンクグループが親会社であることはもちろん、球場(スタジアム)は自前で、スタジアムでの収益は球団に入ります。一方、プロ野球の盟主読売ジャイアンツ(以下巨人)は、球場の東京ドームに使用料を支払い、球場での売り上げは一部しか入りません。

チーム強化に関しても、福岡ソフトバンクホークスは秀逸です。日本シリーズMVPの甲斐拓也捕手は育成ドラフト6位で入団した選手です。日本人のエース格千賀滉大投手も育成ドラフト4位です。ドラフト制度という制約された環境の中で、チーム強化を図らなければならないため、逆にチームの育成能力が現実の結果(成績)を表していると言えると思います。

サッカーJリーグ

一方、サッカーJリーグが、シーズン終盤を迎えています。J1の優勝争いは川崎フロンターレの2連覇が濃厚となり、黄金期を迎えそうな予感を感じさせてくれます。ベテランと若手が融合しており、チームのコンセプトが明確で、川崎スタイルが完全に確立されました。そうなると、誰が出ても役割が明確なので、迷うことなくプレーできます。川崎の課題である、アカデミーがより強化できれば、より強いクラブになると思います。

先日、横浜F・マリノスを制してルヴァンカップ優勝の湘南ベルマーレは、昨年はJ2に所属していたクラブです。2017年度のクラブ決算一覧では、湘南は約15億6000万円。J1平均で約40億8000万円の予算でクラブ経営がなされている中での湘南のカップ戦優勝はサッカーファンに感動を与えました。湘南は、選手を育成しては、見合った給料が払えず、他のクラブに奪われてしまうことが続いておりました。今季途中から、結果にコミットするの「RIZAPグループ」が経営に参画し、今後への期待がとても大きくなりました。

J2で上位を争うFC町田ゼルビアにはサイバーエージェントグループがオーナー企業となることが発表されました。ワールドカップベスト16進出でサッカーコンテンツに対する魅力が高まり、サッカークラブへの投資が積極的になったのではないかと私は見ています。

プロスポーツ産業が拡大することは、スポーツ庁の第2期スポーツ基本計画のスポーツ市場規模の拡大に繋がり、スポーツを通じた雇用の促進や、好きなチームを応援することで、スポーツを通じた活力があり絆の強い社会が実現できるのではないかと考えられています。

さあ、秋はスポーツを観て、自らも身体を動かして、健康になりましょう。

著者プロフィール

佐々木 達也(東京都出身)

・城西大学 経営学部 准教授  スポーツマーケティング・マネジメント分野領域を専門とする。
・早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。
・大手総合広告代理店にてスポーツに関する業務に携わり、Jリーグクラブ勤務後、金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科講師を経て現職。現在もJ2ツエーゲン金沢シニアアドバイザーを務める。