冬には冬のスポーツの楽しみ方:箱根駅伝編

2018.12.12

皆さんこんにちは。月日が経つのは早いもので、今年も残り一ヶ月を切りました。12月を迎えたにもかかわらず、例年より暖かい冬となっております。冬だからと言って、「エンジョイスポーツ」を怠っていませんか。冬には冬のスポーツの楽しみ方がありますのでご紹介したいと思います。

冬のスポーツと言えば、来年日本でワールドカップを控えているラグビーが代表的です。大学ラグビーは、今季は稀に見る混戦です。帝京大学一強時代が長きにわたり続いていましたが、関東対抗戦グループは、帝京大学と早稲田大学が5勝1敗で並び両校優勝。この後、大学選手権により大学日本一を決めますが、今季は実力が拮抗しており、観る側にとっては面白い試合となること間違いありません。

お正月の風物詩 箱根駅伝

そして、今や日本のお正月の風物詩となった、箱根駅伝。陸上界の革命児原晋監督率いる青山学院大学の5連覇と大学三大駅伝(出雲、全日本大学、箱根)制覇に注目が集まります。今や箱根駅伝は、単なる大学スポーツの域を超えて、大学をPRするブランディング戦略として大きな役割を果たしています。先日、立教大学が箱根駅伝出場を目指すことが発表されました。慶応義塾大学は、「慶応箱根駅伝プロジェクト」として寄付金を募り、OBを含めた全学を挙げて取り組んでいます。

なぜここまで、過熱化するのかというと、テレビ中継の平均視聴率は約30%を稼ぐビッグコンテンツであることが最大の理由であります。正月2日、3日の朝7時から放送が始まり、8時のスタートからゴールする14時近辺まで生中継され、その間大学名がテレビ画面に映し出され、アナウンサーが大学名を連呼し、その広告効果たるもの計り知れないものがあります。

城西大学の駅伝戦略

現在私が勤務する城西大学は、1965年開学と比較的歴史の浅い新興大学です。駅伝部は2001年創部、箱根駅伝に初出場したのは2004年で以降14回出場で最高順位6位、シード権獲得(10位以内)4回と伝統校がひしめく中、頑張っています。率いるのは、櫛部静二監督(47)で、早稲田大学1年生でエース区間2区を走り、脱水症状による失速は記憶に残る名シーンとして語り継がれています。翌々年は1区を走り、早稲田大学の優勝に貢献した箱根駅伝のレジェンドの一人です。

箱根駅伝は10名の選手で襷を繋ぎ、一人当たり約20kmを走り総距離210km超のレースです。この10名を揃えるのに各大学は熾烈な獲得競争をしています。高校生陸上長距離選手にとって、箱根駅伝に出場することは夢であり目標です。選手獲得において、大学のブランド力が物を言うのは当然のこと、城西大学のような新興大学は、ブランド力で選手を獲得することはできないため、櫛部監督のマネジメント力が今の結果を生んでいると私は見ています。

櫛部監督は、城西大学経営学部准教授として教育にも携わっており、運動生理学者の知見を基にチームの強化を行っています。伝統校が、長年培ってきたスタイルを崩しにくい中で、常に新しいトレーニング方法を模索し、科学的なトレーニング方法により、他大学と比べるとエリートとは言えない選手層で結果を残してきました。

箱根駅伝により入学志願者が増えることは、学術論文やメディアによる検証で証明されています。最も顕著なのは、青山学院大学と東洋大学であり、城西大学においても知名度に関して言えば近年全国区となり入学志願者も増えています。

もはや箱根駅伝は、単なる大学スポーツとしてではなく、大学のマーケティング戦略として重要な役割を担っており、国内においてトップレベルのスポーツコンテンツのひとつであります。走者である学生が、純粋な気持ちで競技に取り組み、ひたむきに走る姿が私たちの胸を打ち、箱根駅伝の価値を高めて、国民の約1/3が注目するコンテンツとなったことは普遍的な事実です。

(テレビも含めた)スポーツ観戦で熱い気持ちになり、怪我予防を入念にして自らもスポーツすることで、体力をつけて冬を乗り切りましょう。

著者プロフィール

佐々木 達也(東京都出身)

・城西大学 経営学部 准教授  スポーツマーケティング・マネジメント分野領域を専門とする。
・早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。
・大手総合広告代理店にてスポーツに関する業務に携わり、Jリーグクラブ勤務後、金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科講師を経て現職。現在もJ2ツエーゲン金沢シニアアドバイザーを務める。