記録的猛暑の夏から、ようやく過ごしやすい秋がやってきました。今月から、スポーツをより楽しんでもらえるように、様々な角度からスポーツについて語っていきたいと思います。楽しく読んでもらえるように努力して参りますので、よろしくお願いいたします
皆さん、「sports」の語源はご存知ですか?
ご存知の方も多いと思いますが、「気晴らし・楽しみ・遊ぶ」等を意味する「desporter」に由来します。このことから、スポーツは楽しむことがとても大事だと私は考えます。
日本ではスポーツが「体育」と捉えられ、教育の域から出なかったため、楽しむよりも忍耐力等精神論が根底にあり、スポーツの普及発展が欧米に比べて遅れたのではないかと思っています。しかしながら、東京オリンピック・パラリンピック2020(以下東京2020)を控え、時代・ライフスタイルの変化に伴い、体育からスポーツへと変化していく過程にあります。
今年度から、公益財団法人日本体育協会は日本スポーツ協会へと名称が変更になりました。また、10月の「体育の日」は2020年から「スポーツの日」となり、2023年には「国民体育大会」が「国民スポーツ大会」とそれぞれ名称が変更になります。今まさに気合いや根性の体育から、楽しむスポーツへと時代は動いているのです。
スポーツには、「する・みる・支える」があると定義されています。(文部科学省)スポーツ=するしかないと考えがちですが、みるスポーツという考え方、支えるスポーツという考え方があります。
みるスポーツ・支えるスポーツ・するスポーツ
みるスポーツは、その名の通り、スポーツを観戦するということです。日本では、2019年にラグビーワールドカップ、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが控えており、多くの人が「みるスポーツ」を体感ことになるでしょう。普段でも、プロ野球NPBやサッカーJリーグ、バスケットボールBリーグ、もうすぐ卓球のプロリーグTリーグ始まりますが、毎週末には何かしらスポーツの試合が開催されて、多くのファンが会場に駆け付けてみるスポーツを実施しています。会場に行けない人も、テレビやインターネット配信を通じてみるスポーツをしています。
支えるスポーツとは、スポーツのイベントを行うにあたり欠かすことのできないボランティアへの参加をする行動のことです。全てのスポーツイベント・大会はボランティアにより成り立っていると言って過言ではありません。現在、東京2020のボランティア募集が始まり、関心を持った方もいらっしゃると思います。合計8万人のボランティアを必要とし、日本スポーツ史上最大規模になります。本来、ボランティアは義務や強制ではなく、自発的に奉仕活動に参加することですが、8万人を集めるとなると至難の業です。どのように集めるのか注目したいです。
最後に、するスポーツ。スポーツをすることには、人それぞれ目的がもちろん違うと思います。競技スポーツをしている人、健康を保つためにしている人、学校でやらなければならないためにしている人等、それぞれに理由はあるでしょう。いかなる理由があるにせよ、スポーツをして損をすることはないと思います。
長寿・高齢化社会を迎えて
現代の日本社会は、長寿・高齢化社会を迎えております。
厚生労働省の3年に1度実施する国民基礎調査によると、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を送れる期間を示す「健康寿命」が、2016年は男性72.14歳、女性74.79歳。2016年の平均寿命は男性80.98歳で健康寿命との差は男性8.84年、女性は87.14歳で12.35年です。平均8年から12年の間は介護が必要とのデータが出ています。誰もが健康で長生きしたいと考えるでしょう。そのためには、スポーツを若いうちから定期的に実施することで、健康を維持することが大切となることは言うまでもありません。
日本では、スポーツ庁が中心となり、国家戦略としてスポーツ実施率の向上を掲げています。その結果スポーツ実施率は上昇しており、平均寿命・健康寿命ともに延びています。東京2020を誘致したのは、経済効果だけではなく、国民にスポーツに関心を持ってもらい、スポーツ実施率の上昇と健康促進のためでもあります。
これからスポーツをするにはとても心地良い季節となります。スポーツをすることで、健康になり美味しくご飯も食べることができるし、継続していくことで将来的にも健康な身体を作ることができます。
スポーツの秋・食欲の秋到来です。
さあ、「Let’s enjoy sports!」 です。
著者プロフィール
佐々木 達也(東京都出身)
・城西大学 経営学部 准教授 スポーツマーケティング・マネジメント分野領域を専門とする。
・早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。
・大手総合広告代理店にてスポーツに関する業務に携わり、Jリーグクラブ勤務後、金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科講師を経て現職。現在もJ2ツエーゲン金沢シニアアドバイザーを務める。