Keep an eye on the Japanese national basketball team!

2019.4.10

男子バスケットボール代表と女子バスケットボール代表の開催国枠での2020年東京オリンピック出場が決定しました。男子は1976年のモントリオール大会以来、実に44年ぶりの出場。女子は2大会連続です。そもそも日本で開催するのになぜ開催国枠が与えられないのか疑問に思う方が多いと思います。まず一つ目に、オリンピックの出場枠は開催国枠が1、大陸枠としてアジア大陸1、アフリカ大陸1、アメリカ大陸2、ヨーロッパ大陸2、オセアニア大陸1で計7枠、残りの4枠を世界最終予選で争います。アジアは中国やイランが強く、日本が優勝したのは1971年のFIBAアジアカップ東京大会まで遡ります。
今回、男子バスケットボール代表になぜ開催国枠がなかなか与えられなかったのか、そして与えられることになったのかを簡単に整理してみたいと思います。

まずは、日本の男子バスケットボールの歴史を辿ってみます。かつて、日本の国内におけるバスケットボールは企業チームによるリーグ戦が行われておりました。この企業スポーツというのは日本特有なもので、企業がスポーツチームを会社の福利厚生の一環として保有して、選手を社員として雇用し、企業の士気高揚と広告宣伝活動のために行われて来ました。
日本においてチームスポーツでプロスポーツとして成立していたのは、戦前から行われていたプロ野球のみでしたが、1993年に日本でまだそれほど人気スポーツではなかったサッカーがプロ化し、Jリーグを作って大成功したことが多くの競技団体に火を点けました。
バスケットボールもプロ化検討が始まりましたが、多くの企業チームが反対してプロ化がなかなか進まない中で、新潟アルビレックスとさいたまブロンコスが日本バスケットボール協会と当時のリーグ機構を脱退して、bjリーグというプロバスケットボールリーグを設立してしまいました。その後、bjリーグ加盟のチームは増え続けて、2016年まで企業チーム主体のリーグとbjリーグの2つのトップリーグが存在するという分裂状態が続いていました。そこに、国際バスケットボール連盟(FIBA)が分裂状態の改善を要求して来ました。改善されるまでは国際試合の禁止という厳しい制裁も付いて、ついにJリーグ初代チェアマン川淵三郎氏が中心となって2つを統合したBリーグを設立したことで、FIBAからの制裁も解除されて国際試合参加も認められました。

Bリーグ創立によってバスケットボール界が統一されたものの、東京オリンピックへの出場は決まりません。理由は、日本代表が国際舞台において結果を出していないからです。ワールドカップは日本開催の2006年以来出場できず、アジアの大会ですらメダル獲得は1997年の銀メダルまで遡ります。
そのような中、ワールドカップ(2019年中国)予選で、4連敗から8連勝をして2006年自国開催以来のワールドカップ出場を決めました。日本にとって追い風となったのは、2019年のワールドカップ中国大会から大会規模が拡大し、出場チームが「24」から「32」へと増加。それに伴い、アジアはオセアニアと合同予選となり、出場枠は「3」から「7」へ。強豪中国は開催国枠で出場であったため予選には参加していません。

そういった状況ではあったにせよ、日本がBリーグ開幕後にワールドカップの出場を決めた流れはサッカーと良く似ています。プロリーグが国内リーグのレベルを上げて、海外でプレーする選手が増えてくることで、日本代表の強化に繋がっています。他のスポーツ団体への大きな刺激となったことは間違いありません。今後もバスケットボール日本代表に注目です。

著者プロフィール

佐々木 達也(東京都出身)

・城西大学 経営学部 准教授  スポーツマーケティング・マネジメント分野領域を専門とする。
・早稲田大学人間科学部スポーツ科学科卒業。早稲田大学スポーツ科学研究科修了。
・大手総合広告代理店にてスポーツに関する業務に携わり、Jリーグクラブ勤務後、金沢星稜大学人間科学部スポーツ学科講師を経て現職。現在もJ2ツエーゲン金沢シニアアドバイザーを務める。